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『私の男』 : 禁断の連続と気持ち悪さの連続

2014.07.04 (Fri)
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 大好きな浅野忠信さんと二階堂ふみさん主演の近親相姦という歪んだ愛の映画です。所々退屈で、所々鬼気迫る、メリハリの利いた作品でした。小説を読んでいないので、映画のみからの感想です。

 2008年6月、結婚式を翌日に控えた腐野花が婚約者の美郎、父の淳悟と3人で会食する場面から始まり、第2章は2005年11月、第3章は2000年7月、第4章は2000年1月、第5章は1996年3月、最終章は1993年7月と、年月をさかのぼっていく形で物語は進む。また年月がさかのぼるにつれて舞台も東京から北へ変わっていく。
 竹中花は9歳のとき、奥尻島を襲った大地震(北海道南西沖地震)による津波で家族を亡くし、親戚に当たる腐野淳悟の申し出によって引き取られ、北海道の紋別市で性的虐待を受けながら暮らす。それ以来、花は淳悟と離れないと決意したのだが、大人になってから美郎と結婚することになる。第1章では花が新婚旅行から帰ってきて、淳悟が消えたことを知るまでを描かれ、第二章では後の婚約者である美郎との出会い、第三章では高校生になった花と淳悟の殺人、第四章では中学生の花による殺人、第五章では小町を中心にして描かれ、最終章となる。物語は全体的に日本ではタブーとされている親子の愛(近親相姦)を中心に描かれている。


 序盤の北海道震災の描写は未だに生々しく痛いです。いきなり、そんなタブーからスタートしたこの映画……この時点から、何かが違うと感じさせてくれます。ここでの浅野演じる淳悟と花の出会いが感動的です。花を演じた子役の山田望叶ちゃんは要チェックです!淳悟の指を握る瞬間は涙ですよ。
やがて、大人になるにつれ、二人は親子から男女の関係に変わっていきます。ところが男女の関係になった瞬間、お互いの事が分からなくなってしまうのですよね。とても滑稽です。見えなくなる事が他人を生むのですね。切ないけれど、親子関係なんてそんなものなのですね。

 そして恩人である叔父さんを花が殺害するシーンは堪りません。流氷に乗せられて放置です!こんな死に方嫌です!花は津波で失った家族の元へ叔父さんも送りつけてしまいました。花にとって海は『死の世界』。その傍らに住む彼女にとって、死はあまりに近しい現実。だからこそ、叔父さんの死にも左程罪悪感を感じなかったのかもしれません。父・淳悟との関係を知られたから殺したかったというのが引き金ですが、殺す事にそれほどの意味はなかったでしょう。
しかし、問題はこの死を事故死として片付けられなかった刑事を、隠蔽の為に淳悟が殺してしまう事です。このまま二人は大きな秘密を抱え、生きていかなければならないのです。

 やがて、お互いに持て余すのか、花は結婚、淳悟は失踪と言う形で父という役割の放棄を行います。ここで男女と親子から他人になります。最低の父親ですが、痛烈な愛情も抱えていたのでしょう。痛みを抱えているから、花は常に淳悟の愛を試し続けていたのかもしれません。しかし、よく分からなくなった父から気持ちも離れていくのです。

 最後に淳悟が花の婚約相手に「お前には無理だ」と呪文を投げつけます。恐らく淳悟は自分自身に言ったのでしょう。花の愛は重く、淳悟は逃げるタイミングを見計らっていたはずです。そんな中で花の結婚は良い機会だったでしょう。そうして、殺した刑事の遺体とともに淳悟は失踪するのです。

 昭和の空気が漂う映画でした。歪んだ愛の総集編という意味でも昭和的です。言ってしまえばフランス的です。とても魅力的な作品でしたが、必ずしも万人に薦められる映画ではありませんでした。

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